第84話

思わぬ恋愛成就に浮かれてしまったが、確かにここはインターンシップでお世話になっている会社の会議室。ここでこんな破廉恥な……だめだ。絶対だめ。


響の胸を押し、いそいそと机から降りるとすかさず握られる右手。



「じゃ、早く帰ろ」


「ん……」


「今日は俺の家な?」


「え……?泊まり?」


「もちろん」



ご機嫌に会議室の出口へと向かう響の後を追えば、途中でクルリと振り返り。




「……わっ、」


「家帰ったら、……もっかい俺のこと好きって言って?」


「……」



愛されフェロモンを振り撒いて、甘い顔で笑う"プリンセス"



そのフェロモン致死量につき、一歩外に出ればハイエナが寄ってくること間違いなしだ。




「……響。あんたのことは私が守り抜くからね」


「は?だから、これからは俺が……!」


「私は響の"ナイト"だから!」


「あのなぁ……?」




酔わないナイト。生涯かけて守り抜くと決めたお姫様のために、この命をかけたって構わない。



でも、ふたりきりの時だけは……




「俺だって涼を甘やかしてぇの」


「ふふ、じゃあ……その時はお願いします」




心行くまで君に酔いしれて。

幸せの海に沈む"プリンセス"でいさせて。







酔わないナイト

—end—

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