第81話

あーあ、言っちゃった。これでもう、5歳から続いてきた幼馴染生活もジ・エンド。


これから就職して、結婚して、子ども産んで、おじさんになっていく響の人生を拝むことさえできない人生の始まりだ。


でももう仕方がない。だって、もう隠せないし、戻せないんだもん。響が好きで好きで、このままじゃ私も響を襲うモンスターになりかねない。


最愛の人を自分自身が苦しめるくらいなら……潔く身を引くのが男でしょ。



「今までの信頼壊してごめんね?すぐに気持ち消せるわけじゃないけど、いつかちゃんと消すからね」


「……無理」


「あ、そうだよね……えっと、でも、できるだけ響の視界に入らないようにするし……」


「……だから、無理だって!」


「っ、」



せっかく腹を決めて決別しようとしているのに、到底太刀打ちできない力で改めて抱きしめられる。ドキドキよりも困惑して、怒られているこの状況がよく分からない。


「俺から離れること、簡単に想像してんじゃねーよ」って泣きそうな声で肩に額を乗せられて。全身の力が抜けた頃、抱きしめる力が弱まった。




「好きな人から好かれて……気持ち悪いわけないだろ」


「……え?」




真正面から両頬を抱えられて、まっすぐに告げられる言葉。


「好きな人」?「気持ち悪いわけないだろ」?……誰が、誰に言っている?私の後ろに……誰かいる?


正気を失うほどには信じられなくて、ただただ目をぱちくりさせていれば、グッと唇を噛んだ響が私の唇に噛み付いた。



「んっ?!」


「……"信じられない"って顔すんな」


「……」


「好き。大好き。涼のこと、出会った時から世界で一番好き」


「っ、」



私の髪を耳にかけながら、わずかに上がる口角。幼児のように愛らしい微笑みに、きゅううと心臓が高い音を鳴らす。

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