第73話
*
その日の終業後、瀬古さんの言葉を思い出しながら、会社のロビーで響のことを待っていた。
ずっと変わらないために、……変化することも必要。今まで幼馴染のままでいることこそ正義だと思っていたが、すでに状況は変わってしまった。
体を繋げてしまった以上、もうただの幼馴染とは言えないし、私の気持ち的にももう元に戻るなんて出来っこない。
今日、響にそれとなく聞いてみよう。私のこと、どう思っているのかって。
とことん意気地無しの私は残念ながらスパッと告白なんて勇気のある真似はできないけれど、少しでも私と恋愛関係になってくれそうな雰囲気があれば、そのときは……。
胸に広がる淡い期待。どうしたって"恋人になれたら……"という不毛なシミュレーションを頭で繰り広げてしまう。
響に「好き」と言ってもらえたら、どんなに嬉しいだろう。私も素直に「好き」と伝えてみたいし、甘えるように抱きしめ合ったり……。
この後の私の頑張りで、そんな夢のような出来事が現実になるかもしれない。無理だと決めつけていたことは、もしかしたら無理じゃないのかもしれない。
(早く、響来ないかな)
今朝も会ったのに、今、こんなにも会いたい。
身体を繋げるようになって、今までよりもっと距離は近づいたはずなのに……人間って相当欲張りに出来ているらしい。
定時から30分も過ぎているのに中々やってこない響に痺れを切らし、スマホを手に取った時。視界の隅に明らかに異質なオーラが入り込んだ。
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