第64話
強引な彼によって始まった行為。流された私によって進行した行為。
しかしそれは、驚くほど優しく甘かった。
……私の錯覚かもしれないけど、そこに愛があると、あればいいのにと。
胸いっぱいに膨れた“期待”はもう無視できないほどだった。
やっぱりそこにあった。見ないふりをしていただけ。欲深くて、執念深い……私の女の部分。
「涼、痛くない?」
「ん、」
頭を撫でながら、表情を窺う彼のこの表情を見るのは私で何人目なのだろう。私の後にあと何人の女が見るのだろう。
中学時代、他の女の子と自宅に入っていく響を見た時の気持ちがフラッシュバックする。
あの時は今より随分素直だった。響への気持ちを隠せなくて、響の隣にいるのがつらくて逃げた、弱いけど真っ直ぐな私。
ちょっとだけ、……戻ってみてもいいだろうか。
素直に、「響がほしい」と願っても許される?
「……響、」
「っ、」
自分から、彼の背中に手を回した。首筋に漂う甘い香りにクラクラと酔わされて、私の免疫細胞はとうに全滅している。
「お願い、やめないで」
「涼……」
「最後まで、……シて」
「……」
もうどうにでもなれ。これが夢だろうが、現実だろうが、この思い出だけで私は永遠に続く辛い片思いに打ち勝てる。
気まぐれでもいい、ただ性的欲求が溢れただけでもいい。どうだっていいから……
「私の初めて、響がもらって」
「っ、」
今だけは、私を女として抱いて。
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