第58話



「直江さん、大丈夫〜?」


「ごめんねぇ、酔ってるの気がつかなくて」



グラグラと視界が揺れる中、心配そうに顔を覗き込む田中さんと加藤さんにギリギリの意識で「大丈夫、です」と告げる。



「全然大丈夫そうじゃないけどね」


「……」


「俺が飲ませすぎたね。ごめん」


「いや、全然瀬古さんのせいじゃ……」



私の肩を掴んで支えてくれる瀬古さん。私が勝手に飲みすぎただけなのに謝らせてしまったことが申し訳なくてすぐに否定しようと思ったのに……



「俺が口説きすぎたせいでしょ?」


「……」


「あとはモテすぎな幼馴染くん」



耳打ちされて息を呑んだ。本当にこの人には敵わない。頭の中全て見透かされているみたいだ。



「この感じじゃ二次会無理そうだねぇ」


「すみません……」


「俺が家まで送るよ。みんなは二次会楽しんできて?」


「えっ、いや……」



肩を支えていた彼の腕が腰に回った。もちろん酔っ払いを支えるためだということは理解しているが、あまりの密着度に酔いが回る。



「あの、大丈夫です。私、ひとりで……」


「何言ってんの?こんなにフラフラなのに」


「いや、でもタクシーさえ捕まえれば、」


「女の子を夜道に一人置き去りにできないでしょ」


「……」



当たり前のように与えられた"女の子"の言葉。


いつだって守る側だった私が守られる側にいることが不思議で、慣れなくて、でも……酔っ払っているからか、ちょっとだけ高揚した。



……でも、






「……そんなフラフラになるまで呑んでんじゃねぇよ、涼」


「……」




その一声で、引き戻される。

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