第47話

「な、なに……?」


「んー?どれが合うかなって」


「……え?」



手に取ったピアスを次々と私の耳にあてがう響にポカンとしてしまう。


「どれが合うかな」って、……私に?



「どういう風の吹き返しで」


「吹き回し」


「お、覚えたね」


「おー、天才だから」



って、ふざけてる場合じゃなくて。冗談じゃなく、この状況が分からない。


疑問の残る表情で見つめていれば、私の耳元に視線を残したまま、美しい唇が動き出した。



「んー、まだ誕生日プレゼント渡してなかったし」


「へ?」


「せっかく洒落た格好してるから……いいかなって。こういうの」


「……」



真剣な顔でピアスを選ぶ彼にパチクリと瞬きを繰り返す。


驚いたのだ。今朝、あんなにスカート批判をしていた男が、私の生まれて初めてのお洒落を肯定し、その上で私に似合うピアスを探している。


明日は雪か?あられか?それとも今日の丸一日全部夢だったりする?



「あ、これいいじゃん」


「……」



現状の5割を疑う私にニカッと笑顔を見せる。その両手には少しだけデザインが異なるピアスが掲げられていた。



「え、それって」


「お揃い!」



疑いが8割になった。



「……」


「なに、やなの?……なんでだよ!」



固まる私に怪訝な表情。イヤとかまだ何も言ってないのに、ムッと唇を尖らせて勝手に拗ねる。それこそが真壁響だ。

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