第41話
元々人嫌いだったはずなのに、私が彼への恋心を自覚した13の夏から間も無くして、彼の女遊びが始まった。
初めて彼に彼女ができた時は心が張り裂けそうなほど辛かったが、短く髪を刈り上げているような私が恋愛沙汰に足を踏み入れるなんて許されないと感じて、何の行動も起こせなかった。
間も無くして二人は別れ、次の彼女ができる。そうこうしていれば、別れたとか付き合ったとかの噂話も聞かないままに他の女の子を自宅に連れ込む響を目にしたりして。
悲しかったし、辛かった。そんな気持ちを打ち消すように部活に打ち込んで、なんとなく響とも顔を合わせ辛くなって……。
——……響が誘拐されたのはそんな時だった。
年上の、丁度今の私たちくらいの年齢の女性にスタンガンで意識を奪われて……丸1日、女性の部屋に監禁されたのだ。
14歳の夏。響が前の晩から帰ってこないという知らせを受けて、学校、部活そっちのけで響を探した。
ジワジワと照りつける太陽に肌を焼かれ、ただでさえ部活で真っ黒に焼けた肌がさらに焦げるようにヒリヒリ痛む。
でも、そんなことよりもとにかく彼が心配で仕方がなかった。
私が守らなければならなかったのに、守るって決めたのに……不必要な恋愛感情を抱えたせいで彼から距離を置いてしまった。
ひたすら自分を責めた。響を見つけたら、もう絶対にそばを離れない。彼がどんな女性を愛していようが、私は心を殺して彼のそばに居続けるって固く誓った。
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