第四十八話
「天使なのに自分の役割すらも放棄して?挙げ句の果てには人が作った学園に入学してその上授業中は寝て、午後からも怠惰に過ごすとは...一体何がしたいの?」
彼の目を覗きながら聞く。
質問しても答えが返って来ない。
「わからない?自分が何がしたいか。...それもそうだよね。私より長い期間生きて、私が生きた時間よりも惰性に過ごした天使さん?」
そう煽るように話す。
「この学園に来て一歩でも前に進めたかい?...進んでないだろう?いや、精神面では成長してるかもしれないが行動に現れていない。そうでしょ?」
彼に目をやると前髪で鼻より上は見えないが口が少し歪んだのが分かった。
理解して納得してしまった証拠だ。
「結果が出てないなら誰か頼れば良いものを」
「頼れる人がいなかった」
あらら、最悪なパターンのやつだね。
「でも、今目の前にいるじゃないか?それともプライドが邪魔しているのかい?」
そう聞くと彼は黙ったまま動かない。
「図星のようだね。まあ、私は先生だし?答えを教えることはできなくとも道ぐらいは教えてあげられるかもしれないよ」
迷っているような顔が見える。
...そろそろやりたいことへの時間が消える。
ここがやめ時か。
「まぁ、私に頼る頼らないは君次第。どうするかは考えておいたら?」
そう言って教室から出る。
魔力の圧も解いておく。
教室から出て思案する。
私に質問してくる可能性は7割程度、その上で学園祭で全力を出すことを含むと五割も満たない。彼が全力を出したところで勝てるのかすらわからない。
戦術面を鍛えたらいけるか?
相手の情報次第か。
結局前出した結論に戻る。
そこで学園祭の思考はやめ、彼への思考へ切り替える。
まず、第一に感情の起伏が激しい。
地雷を踏んだのかわからないが急に怒りが現れたのはなぜか。
そういうユニークスキルだと言われれば納得できるのだが。
それは情報が少なくてわからないから一旦置いておいておこう。
それとアス様の気配が少ない。
天使ならアス様の気配を感じれるはずなのに。あまりにも希薄だ。
人としての感情が多いからか?長くここにいるから?
わからないな。
私は天使とか神とか天界に関係あるものに疎すぎる。というかあの図書館に情報がなかった。
自分で見つけろと言わんばかりに一切の情報がなかった。
そう考えていると目的の場所に着いた。
そこは山だ。今は廃坑となった鉱山。
ヒイラギに教えてもらった場所だ。
鍛冶場を要求した時についでに教えてもらったところだ。
街を出る前に買ったツルハシを持ちながら山の中に入る。
ストイックな異世界入り ss @s3q4
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