第四十四話
遅れました。すみません
⭐︎ーーーーー
side:セルリアス
教室に戻って説明を聞いたが今の私には参考にすらならなかった。
魔力で魔術の影響を無くすという技術は無理だろう。今の私たちでは。
ただ、可能性の話ではあるが今の私なら四大属性は防げるような気がする。
それをするぐらいなら反属性で相殺すればいいんだろうけど。
そんなことを考えているとみんな教室から出ていく。
出ていく姿を見ることで私は授業の終わりを察し、慌ててギルドに向かう。
今日も聖女して頑張らないと。
side:ユキ
「で、今日は何?」
そう呼びだしたヒイラギに問いかける。
「近々ある学園祭の説明についてね」
「ある程度なら頭に入れてあるから問題ない」
扉に手をかけて出ようとするが
「もしかしたら、知らない情報があるかもね?知らないままして困るのはそっちだからね。でもそれをもしここで聞かなくて、生徒の質問に知らない情報が含まれていたら、答えられなくなって先生としての面目が丸潰れだろうね」
そう言って止めようとしてくる。
なぜそこまでして呼び止めたいかわからないが、
ヒイラギの手のひらに乗ろうか。
「なるほどね。一応、復習をしておくことも大切だしね。ただ、一つ疑問があるとすれば学園祭は生徒主体だと思うんだけど?私が詳しく知る必要あるかな?」
ただ、手のひらで踊らされるわけにはいかない。
「ある、と言えば嘘になる。でもユキも忘れたわけじゃないだろう?教師同士の試合があることも。それに言っただろう?知らない情報を知らないままにして困るのはそっちさ」
「なら、その知らない情報とやらを早く教えてくれない?」
そう話が早く進むように促すが
「まぁ一旦、落ち着くべきだね。君も言ったよね。復習がしたいって、なら一から説明するのが道理じゃないかい?」
彼が止めてくる。
復習と言ったのが悪手だったか。
「ま、そういうなら一からの話を聞こうか」
「感謝するよ。それじゃあ、説明していこうか」
一呼吸おいてヒイラギは説明を始める。
「学園祭とは別名クラス対抗戦ともいい、各クラスごとの勝負。種目は総合、魔法、武器戦闘に分かれる。総合はトーナメント方式、残り二つはバトルロイヤル方式になる。それぞれのクラスの生徒一人一人が各種目の代表者となって戦う。原則一人一つの種目に出場が可能。トーナメント方式には順位でポイントが決まり、バトルロイヤル方式は退場させた人数と生き残った順位でポイントが決まる。それとは別に教師用の総合のトーナメントもある。先生ももちろんクラスの一員だからね。もちろんポイントもあるよ。トーナメントのポイントは一位が五十、二位は三十、三位が二十、四から八位が十となる。バトルロイヤルは、トーナメントのポイントを半分にした数となる。だから一位は二十五だね。退場ポイントは一人につき三となる。──大まかだけど大体これで説明は終わったかな」
「そうだね。復習は大丈夫だ。それで、私が知らないであろう情報とはなんなんだ?」
そう言ってヒイラギを急かす。
「さっきも言ったけど、先生もクラスの一員と言ったよね。だから、本来生徒だけでするべきである三種目に教師が入り込む事態が起こっててるんだ。それをどうにか阻止して欲しくてね」
「なら、入り込むことを禁止にしたらいいだけじゃないのか?」
そう疑問に思ったことを溢すと
「そうしたんだけどね。そしたら、先生はクラス一員じゃないなら教師トーナメントでポイントが入るのがおかしいと言われてしまってね。それも教師の方からね」
「教師トーナメントにポイントを入らないようにするのは?」
そう、別案を出すが、
「教師がやる気を出さなくなる」
「それで困ることはないよね?」
「それがそうでもなくて、先生同士の戦いに面白味がなくなる」
「教師トーナメント自体の廃止は?」
「先生同士の戦いを楽しみにしている生徒も少なくないからね。そしてさっきの話と繋がるんだ」
「なら、ポイントを廃止して、代わりにボーナスとして金貨を支給するのは?」
「...なるほど、なるほど。それはありだね。次回から試すとするよ。今回はさっきの説明の通りにすることを生徒におろしてしまったからね」
「もっと、早く行って欲しかったなぁー。早く言ってくれたらそれなりに対処できただろうなー。それも生徒におろす前に言ってくれたらなー」
「ごめんよ。色々用事が重なってしまって。それに生徒におろしたのはユキが先生になる前だったし」
そんな言い訳を聞きながら答える。
「まぁいいや、つまり、私のクラスを正攻法で優勝させたらいいんでしょ?」
その問いにヒイラギは
「それで合ってる」
と肯定する。
「わかった。報酬は期待しておく」
と言ってギルド長室を出る。
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