第三十三話
さて、ここからどうするか。
まず、あの綻びのない魔術、万全魔術と呼ぼうか。
その万全魔術の式を壊さないとあの火は消えないようにした。
そして、外側の式が先に壊されるはずだった。
でも壊れたのは同時。
魔力防御に当たった跡もない。
強引に消した訳でもない。
つまり、魔術を解除したってことだ。それも完璧に近いレベルで。
魔力が視えているのは確実で、その上、私よりも視えている可能性が高い。
魔力操作の技術も高いと。
そして、ユニークの見当もつかない。
いいねぇー、いい相手だ。わくわくするよ。
並の攻撃じゃ意味がない相手だ。
なら異端な攻撃をすればいい。
魔力のジャミングやジャックとかで。
想定内でも予定外を起こせばいい。
一瞬の隙を作ればいい。
空間の魔力の規則性を私の魔力で乱す。
すぐに乱れはなくなるが問題ない。
繰り返せばいいだけだからね。
それに視えているならこれだけでも十分妨害になる。
さっきから魔法や魔術で攻撃していた爺さんの構築のスピードが明らかに遅くなっていることが証明だ。
「小癪なッ!!」
今のうちに二つの魔術を組み立てる
一つはもう一つの魔術の効果が外に出ないようにする空間魔法。
もう一つは時止めの魔術。
この二つの魔術を組み合わせ、一つの魔術として構築する。
「やめん
魔術の発動が終わる。
それと同時にこの空間内の音が消え、色も白黒になる。
この時止めは生物ので動きを止めるだけで完全な時止めとは言えない。
現に発動が終わっていた魔術がこっちに向かって飛んでくる。
飛んで来た魔術を避ける
「本当ならこれで終わるんだけどなぁ」
そう呟きながら多種多様な魔法や魔術を構築する。
これで終わればいいんだけど。
時止めを解除すると同時に構築した魔法や魔術を撃ち込む。
..か。...降参じゃ」
と言う声が聞こえたので爺さんの周りに魔力を張り、私が放ったものに当たらないようにする。
「ありがとうございました。では」
と言って外に足を向ける。
「儂も精進せなばらんな」
そう後ろから聞こえた。
とりあえず勝ったからギルド長室に足を進める
その間にちょっとした反省会をする。
結局、時魔術を使って魔力量頼りになってしまった。
技術で勝ちたかったのに。
やはり、綻びが視えている相手に魔術は弱い。
でも、対策がないのはよくなかった。
だから即席の魔力妨害が作れた上で成功してよかった。
つまり、ユニークスキルは真似できるってことだね。
ただ、本当に対策がないのは駄目だなぁ。本当に。
たまたま成功しただけだからなぁ。
なら、成功しなかったらどうしたのかな?
そもそもが成功しなかったらどうしただろう。
...転移魔術で魔法とかを転送する?...壊されるかな。
結局、魔力量勝負に持ち込みそう。
成功しても意味なかった時も同じことをしていただろうね。
はぁ、力は制限してても、技術は何も制限してないはずなのになぁ。
これでも千年以上は鍛えているはずなんだけど。
才能か、それともユニークスキルか。
そう言えば、ユニークスキルも分からず仕舞いだった。
これだけ見て予想もできないくらいには可能性があるのは駄目だね。
閑話休題
反省会に話を戻そうとして諦める。
ギルド長室前に着いたからね。
三回ノックする。
「はいよー」
という声を聞いてから
「失礼します」
と言って入る。
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