第二十八話

 久しぶり。

 今回も見ていこうか。








 ユキは魔術を使う。

 魔法で言う四属性を使う。

 三ヶ月ほど使って四属性を使えるようになったらしい。

 前見た時の火よりも二回りほど大きい火や水などが現れる。

 ただ、維持する魔力は無いようですぐに四つの魔術は消える。

 ユキの魔力の最大値は千を超えたほどで、さっき使った四つの魔術で八百ほど使う。

 維持する分の魔力は

 だから、これ以上魔力を使ったら魔力切れが起こるため諦めたのだろう。

 ただ、魔術は維持するものではなく、放つものだ。発動できているだけで十分と、言えるだろう。


 だが、戦闘で使うには足りない。

 魔力量が、技術が、実戦経験が、ユキには足りない。

 実戦経験は言うに及ばず、さっきの魔術で手足の震えが見える上に、魔術を発生させるのに三秒もかかっている。

 三秒という時間は戦闘には長すぎる。

 ユキもそれは分かっているようで改善しようとしているようだ。

 ただ、魔力量を上げるのは時間がかかる。魔術を早く発動させるのも反復練習で時間がかかる。

 だから、時間をかけた。




 一年




 二年





 三年と。


 三年経つ頃には魔力量も万を超え、魔術の起動も誤差がないように見えるほど早くなった。

 ただ、実戦は未だにできていないらしい。


「困っているのか?」

 戦闘神がそう問いかける。

「そうですね。戦いながらの魔術や魔法を使ってみたいんですが、同と」

「そうか!それなら俺の出番だな。いやー最近体を動かせなくてな、ちょうど良かった、良かった。...もちろん、手加減はするぞ」

 戦闘神は嬉しそうに話す。

「...それなら、よろしくお願いします」


 ユキは戦闘神から距離を取る。

「これって魔術か、魔法だけだよな」

「はい」

「ならいつでもいいぜ。合図出してくれや」

 その言葉を機に戦闘神の雰囲気が変わる。

「...それでは、始めます」


 両者動かない。


 先に動いたのは戦闘神の方だ。

 魔術陣から小さな火を生み出し、ユキに向かって放つ。

 それにユキは水魔術で応戦する。

 同じ大きさの魔術は水が火を飲み込む。

 そのまま、戦闘神へ向かうが風魔術によってかき消される。

「無詠唱か。素晴らしいな。ただ、魔術を見てからじゃ遅いんじゃないか?」

 と戦闘神は言いながら先程より数倍速い火魔術を放つ。

「クッッ」

 かろうじて避けたユキは次の攻撃の準備をするが、

「ダメだぜ、相手から目を離したらな」

 四つの魔術がユキ目掛けて飛んでくる。

 四属性の魔術が。

 ユキは後方に下がりながら一つ一つ対処していく。

 避けられるものは避け、避けれないものは相殺する。

 そして、必ず有利属性の魔術で相殺するようにしている。

 ただ、完全に後手に回っている。

 攻める暇がないと言うべきか、対処に精一杯となっている。

 その上、たまに魔法が混じっている。

 ユキは同属性の大きさが同じかそれより大きい魔法で対処する。


 しかし、少しずつ間に合わなくなってくる。

 だからか、ユキは強引に土魔法で壁を作る。

 少し出来た間を使って攻撃の準備をする。

「相手を視界から外したらダメだって言っただろ?」

 風魔法によって壁が壊される。

 多く魔力が込められているようで勢いが衰えずユキに向かう。

 ユキは準備した攻撃を勢いを衰えさせるために使う。

「クッソッッ」

 だが、意味がない。

「ヴグァッ」

 体全体に切り傷ができる。

 深い傷から浅い傷、様々な傷がユキを襲う。

 ただ、直前に水の膜を張っていたおかげか、切断されるようなことはなかった。

 だが、無詠唱で想像せず使った魔法は魔力をだいぶ喰う。

 そのせいか手が少し震え、無詠唱の魔術は不可能に近くなってしまった。


「フレイムボール」

 強引に形を整えた陣は発動するが、同じく陣だが、生み出された火はスピードは遅く、小さい。

 その火は戦闘神に簡単に相殺される。

 そして、魔法に見える火魔術が放たれる。


 普段のユキなら気付いたはず。

 陣がないが、魔法のような火の揺らぎがない。

 ユキなら違和感を覚えるのだか、手の震え、ひいては体の震えで視界が揺らぐ。

 そのせいか、揺らいでいない魔術が揺らいで見えたようだ。

 故に魔法と見間違えたようだ。


 そして、魔法と思っているユキは同属性で相殺を図るが意味がなかった。視界が揺れている中、ピッタリの位置に魔法を撃つのは流石だが、互いの魔術、魔法が作用することはなく、すり抜ける。


「な、なんで。...は?」

 火魔術に当たったユキは気絶する。





 



 もう少しで力がなくなるからここで止める。


 ちなみに、魔術と魔法は互いに作用しないよ。

 魔術は有利属性があるよ。

 それじゃ、バイバイ


⭐︎ーーーーー

新作準備しております。

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