第二十七話
力が戻ったからまた見ていこう。
ユキが魔法神に魔法と魔術を聞きに行ったところからだね。
「それじゃあ、始めよーか。魔法と魔術についてをね。まず、前回の復習からねー。魔法は火、水、風、土の四属性ね。魔術に比べて同じ規模でも魔力の使用量が多いよ。イメージ力も重要になるね。魔術は四属性以外にもあって、術式や詠唱が基本的には必要だよ。前回話していないこともあるかもだけど大体こんな感じだね。ま、実際に見てもらったら分かるよ」
と言って片手で魔法をもう片手で魔術を扱う。
「こっちの威力が変わり続けている火が魔法。それでこっちの威力が一定で術式がある火が魔術」
と言って魔法神は二つの火を見せる。
そして、ある程度経ったら魔法神は二つの火を消す。
「魔法はイメージだ。理屈や理論を考えるより想像さ。火を強くするには空気の流れが〜、とか、酸素が〜、って思う必要はないよ。でも、逆に魔術は想像は必要ないよ。図形を覚えるだけ。どう?分かりやすいでしょ?」
「..そう、ですね」
「それじゃあ、これを渡すね。これは魔導書。魔術が載っている本とでも思っておけばいいよ。私は今から加護を地上の人に与えないといけないからバイバーイ」
手を振りながらユキの視界から消える。
ユキは魔法を発動する。
魔法神が見せていた火の魔法を。
「アツッ...」
その魔法は出来た。ユキの思っていた以上に単純に。
指先から出た魔力が火に変換される。
ただ、想像力が足りなかった。
火が空を飛ぶと言う想像が、火が熱いと言う常識がユキの前に立ち塞がった。
ただ、その想像をし、常識を打ち破るのに時間はかからなかった。
数日で魔法神がやっていた小さな火を指先で燃え続けさせることができるようになった。
水魔法や風魔法も同じように想像力の無さや常識によって苦戦する。
水魔法では水を球体にする想像力が、
風魔法は風程度が皮膚を傷付けることができないと言う常識が、
土魔法は火や水、風の魔法で常識を壊したり想像力が高まったりしたおかげか最初から出来るようになっていた。
魔法というものは魔力操作があまり必要ないためかユキはかなりの違和感を覚える。
それもそうだ。魔法は想像とその想像を具現化するための魔力、最後に魔法を発動するという意思があれば誰でも発動できる。
とどのつまり、魔法の発動に魔力操作は必要ないってこと。
故に、ユキは違和感を覚えた。
魔力を操作されるという違和感を
それは神が干渉したとするならあまりにも無情で機械的なモノ
言うなれば、世界の意志とでも言うべきモノ
「これは、体の中を弄られているようでいい気分ではないな。でも、使いやすいことは事実だ。焦って魔力操作ができない時には使えるかも知れない」
と言いながら四属性を操る。
一流。とは言い難いが始めたてとは思えない動きだ。
四つの魔法が空中を意志があるかの如く動き回る。
何分か経った後、魔法の操作をやめ、魔導書に向かう。
魔法神が使用した魔術が載っているページを見ながら組み立てていく。
魔力で円を描き、丸の中に正三角形を描く。
完成したら少しずつ魔術陣が色付いていく。
燃えるような赤が。
そこから小さな火が出てくる。
ただその火は精巧に描かれた絵のように見える。
ユキは魔力操作を忘れ、見入ってしまう。
刹那、魔術陣が壊れ、魔術が消える。
数瞬、魔術が在ったところを眺めていたが正気を取り戻したかのように魔導書を眺める。
力がなくなった...
最後に魔術の説明をしておく。
魔術は円の中にある図形の向きによって属性が変わる。
円の面と向かい合った時、正三角形の頂点が地面から一番離れているところに位置すると風属性となり、時計回り九十度ずつ回転させるとに 水属性、土属性、火属性になる。
でも円の面が上下に来るようにすると自分から離れているところが風属性になる。そこからは時計回りで水、土、火になる。
つまり、円の向きで地面を基準にするか、人を基準にするか、で変わる。
地面に垂直な時以外は自分を基準にするよ。
陣についての話は終わり。
それじゃ、おやすみ。
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