第二十六話

 ユキは魔力操作を常に行うようになった。

 それは何故か。

「なんで、上手く動かないんだ?」

 前までは著しく成長していた魔力操作が今では上手くなるどころか下手になっていだからだ。

 つまるところ、スランプのようなものだ。

 ユキはスランプに陥っていることを理解しているし、抜け出し方も分かっている。

 ただ、彼女の矜持が許さなかった。

 ユキは今よりも上に行くためなら今の強さを捨てることができる。

 でも、終わる頃にはその捨てた強さよりも強くならないと気が済まないらしい。

 だから、やめない。前回より上手くなるまで諦めない。

 ユキはストイックだが合理的でも効率的でもない。


 独り言も多くなり、アマや他の神が声をかけても聞こえないくらいの集中を見せる。

 図書館の時と同じ雰囲気だ。

 ただ、図書館の時と違うのはアマや他の神がユキを止めないということ。

 正確に言えば、神達はユキがしたいことをさせることがユキを早く鍛えることに繋がると考えているからだ。


 だから最初は口を出すがその後からは放任する。

 それはユキの理解力あってのことだ。

 ユキは一を知ったら十を学ぶ。

 そして学んだ十で七十を考える。

 ただ、ユキは七十から百にたどり着くまでに時間がかかる。


 だから神が助ける。助言をする。

「魔力を身体の隅々まで行き渡らせることと循環する魔力を細くして多くするといいよ」と。

 その魔法神の助言にユキが聞き返す。

「細くというのは魔力量を減らすということですか?」

「その通り。その分、数で補って全体の総量は変えないというわけだ」

「分かりました」

 理解したユキは早速取り掛かる。


 ただ、そんな簡単にできるわけがなく、四肢に魔力を行き渡らせることすらできない。

 そして、強引に魔力を行き渡らせようとするためか、痛みが走る。

 何度か経験したことがある内側からの痛み。

 そのせいか一瞬、顔を顰める。

 ただ、痛みがあるだけで魔力が通らないわけではない。

 故にユキは強引に魔力を通す。

 でも、指から先はどれだけ強引に通そうとしても通らない。

 痛みすら感じていないようだ。

 このままでは通らないことが分かったユキは魔力を細くすることに集中する。

 糸のように細くして指から先に通そうとするが失敗する。

 ユキは観念したように魔力の循環を止める。


 そして、胴に魔力を集める。

 集めた魔力から糸のように細い魔力を循環させる。

 何千何万の魔力が胴を廻る。

 そのうちの数百が四肢を巡り、最終的には数本が指の先に行き渡る。


「途中で魔力の太さを変えることはできないのか。なるほど。それに魔力操作がしやすい」

 そう言いながら、胴を廻る魔力の少し取り、体外に出し、操る。

 様々な形に変えて呟く。

「糸状が一番操りやすいな」

 その声は嬉しそうで楽しそうだ。

 魔法神も笑顔を浮かべる。

「もっと細くできるようになるか」

 ユキは次の目標を見つけたのか、より深く集中していく。




 次は魔法と魔術だ。

 それに五十年ほど使う予定らしい。

 ついでに魔力操作と魔力量を上げるようになった。

 まず、ユキは魔法神から話を聞きにい..っ



 あ、力がなくなった。

 ...それじゃあバイバイ





































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