第二十一話

 戻ってきたところで休憩を取る。

 左からは魔物が来ないおかげでここはほぼ安全だ。

 ただ、彼奴等、六人には気を付けておかないと。


 その六人は闘技場で戦ったことのある奴等の中でも強かった方だけどユニークスキルを見てなかったのは失敗だな。

 やっぱり、次がある時は奥の手を見ておいた方がいいね。


 ハァ、それにしても良くなかった。

 外套も破れたし、服も血塗れになった。

 これアマ様から貰ったのになぁ。

 ま、外套はまだ手持ちにあるから着替えよう。

 無駄な出費が増えていくなぁ。

 今後を考えるほど憂鬱になる。


 そう言えば、なんで魔力が使えないことに気づかなかったのか。

 何故分からなかったのか。

 これはまず、魔力を使わなかったのは何故か。と言うところから始まる。

 普通なら警戒しているから魔力による索敵をするはず。

 なのにしなかった。


 一つは油断だろう。

 警戒してると思っておきながらどこかで油断していたのだろう。

 信じたくないけどね。


 他にも理由はあるだろう。

 例えばユニークスキル、とか。

 思考にバイアスをかけられていたかも知れない。

 ただ全ては私の油断が招いたこと。

 ま、可能性として頭の片隅にでも置いておこう。

 そうじゃないと六人で隠れる理由も見つからないしね。


 まぁ、ユニークスキルの危険性と油断していたことを知れて良かった。


 ...火柱が消えた。

 見に行くか。

 そう考え、向かおうとする途中、会話が聞こえる。

「…だーかーら、アイツがゴブリンに刺されただけなんだって」

「...何故助けなかった?」

「それはアイツがもう刺されていて助からないと思ったからだって」

「ふむ、なるほどな」

 と言う弁明らしい会話を六人のうちの代表格である人物とギルド長がしている。

 近くには残りの五人とその仲間であろう人も集まっている。

 それを横目に私は火柱が上がっていたところへ向かう。


 その火柱があったところに向かうと黒焦げになったゴブリンの死体と大剣が最初に目に入る。

 念の為、首と胴を切り離し、アイテムボックスに入れておく。

 周りの木々は倒れている物や切り傷がついた物、燃え跡がある物が目に入る。

 倒れた木はアイテムボックスに入れておく。

 後で何かに使えるかも知れないからね。

 そしてこの場を去る。


 次に目指すはSランクがいるであろう場所だ。

 魔力が多い所があるから分かりやすい。

 Sランクが敵を殺せていたらそれでヨシ。

 ただ、死んでいたり劣勢なら助ける。で良いだろう。

 後ろからやられないように気をつけるけどね。


 そう考えているとその戦いを見つける。

 男性とデカいゴブリンが戦っている。

 見た感じ均衡はしているが守りに徹しているように見える。

 そして、相手の攻撃は一つも喰らって無いようだ。

 相手はゴブリンキング、だったかな。

 そのゴブリンキングの放つ魔法をSランクは掻き消し、数十体のゴブリンを触れることで骨になり、粉になる。

 そして、数十体もいたゴブリンは跡形もなく消えてしまった。

 あれはユニークスキルだろう。

 ただ、どんなユニークスキルだ?

 何か吸い取る系のスキルか?

 そう思い、Sランクを魔力で見ようとする。と目が合ったような気がする。


「おーい、助けてくれないか。今、防戦一方だからさ。君、強いだろうからさぁーッ!!」

 ...気のせいでは無かったようだ。

 バレているようだしもう出てもいいかと考えていると

「頼むってー!、本当にッ!マジでーー!!」

 余裕そうに魔法を消しながら、切羽詰まった声を上げる。

「分かりました。少しお待ち下さい」

 と言い、戦場に向かうのだった。


























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