第十九話
魔物との戦闘は最初は膠着していたが徐々に押し込まれている。
敵の数が多すぎるせいか、はたまたこちらの数が少ない為か押し込まれている。
押し込まれている所に助けに行って他が手薄になって押し込まれての繰り返しだ。
肝心のSランクは魔物達の奥へ跳んだ行った。
多分だがトップを抑えに行ったのだろう。
別に居ても居なくても変わらないんだけど。
私は敵が刀の範囲に入り次第、殺っていく。
前に詰めるようなことはしない。
今の所、十体ほど殺した。
周りは十五体や二十体ほどと戦っているグループが目に入る。
この魔物達はハイすら付かないただのゴブリンやオーク、コボルトだ。
だから戦線は崩壊していないし、善戦が出来ている。
そこにハイやジェネラルが来たら終わりだろう。
だって今の状況でギリギリだからね。
それに一カ所が崩壊するとなし崩し的に周りも崩壊するからだ。
そんなことになる前にある程度の余裕を作っておかなくてはいけない。
ギルド長が全力を出したら簡単に押し返せるのだけど、駄目そう。
戦っているけど力を制限しているように見える。
結界に大部分を割いているようだ。
...私がやるか?
ヤるか...
決めたらすぐに行動に移そう。
行動が遅くて負けると言うのは許せないからね。
とりあえず、まず正面だ。
見ただけでも百はいる。
右に目をやるとその二倍ほどいる。
大体の把握をした後、他のCランクより前に出て魔物に向かう。
一体一体確実にそして速く殺す。
敵に攻撃される前に首を切ったり、刀を心臓に突き刺したりして絶命させる。
でも殺っても殺っても後ろから敵が出てくる。
ただ、右の魔物もこっちに来るから押し返せてはいるようだ。
...キリがない。
攻めれば攻めるほど敵の密度が高くなるし、敵もハイが多くなる。
でも全部一撃で終わる、終わらせる。
だからやる事は変わらない。
ただ面倒になっただけだ。
刀だけで終わらせるのは諦めて魔力を刀に纏わせる。
そして、横に振り、魔力を斬撃として飛ばす。
面白いほど敵が倒れていく。
思った以上に遅いな。威力は十分だけど。
あっ、消された。
ま、いいか。
だか、その分すぐ終わらせる。
丁度、私の斬撃を消し飛ばしであろう敵が目に入る。
二メートルほどあるゴブリンは不遜な態度で問いかける。
「オマエ、ダナ。ザン撃を飛ばシタのは。ドウダ、ナカマにナラ「死ね」」
首をめがけて斬りかかるが大剣に阻まれる。
大剣はゴブリンとほぼ同じ大きさだ。
「ソウカ、ナらば死ネ」
と言い、縦に大剣を振り下ろしてくる。
とはいえ、振りが遅いので軽く避ける。
そして、そのまま攻撃に移る。
でも防がれる。
ただ、ギリギリで防いだ様子だ。
「...フゥー、フゥー」
と言う声を漏らしているしね。
それならと、連続で斬りかかる。
首や心臓、太もも、手首足首などを狙う。
半分ほど敵に当たるが深い傷は付かない。
回数を優先したのだからそらそうだ。
それに魔力も使ってないし。
だが、何十もの切り傷は付けることが出来た。
このまま行けば勝てるだろう。
息切れをしている敵を眺めながら考える。
でも、敵の魔力の把握も忘れない。
ただ、魔力量を見る限りこの状況を変えるほどの魔法や魔術は使え無さそうだ。
「ナメるな、...ナメるナ、..ナメルナ、ナメルナッ、ナメルナッッッ!!」
声が響くより早く走り出す。
嫌な予感が流れる。
出来るだけ早く対処するため走りながら魔術を使う。
とりあえず、火球を何十個も飛ばす。
効いた様子はないが火傷が確認出来た。
ただ叫んだだけなのか?
いや、こう言う時の考えるは当たることが多い。
早めに終わらせよう。
「ハハッ、オレノユニークスキル執ちゃ、くガ負けル、ワケガ、マケルワ」
敵が何か述べている間に首を斬る。
思ってた以上に弱かったな。
なぜ、嫌な予感したんだ?
ゴブリンがユニークスキルがあるような発言をしていたし、あったのだろうか。
ただ、まだ嫌な予感はまだ続いているのでゴブリンを警戒しておく。
それにしても魔物にもユニークスキルはあるのか。
まぁあの発言を本当だったらだけど。
ただ、警戒しておいてそ
「は?」
なぜ?私の胸に剣が?
後ろを見る。
人がいる。
魔力は見えなかったのに...
は?魔力がない。
なんで?魔力が無いなんて無いはず。
...ユニークかッ!
クソッ、抜かった。
その場から離れ、刺さった剣を引き抜き生命魔術を使う。
「はぁ?なんで魔力が操作できない」
「それはだな、あいつらだ」
と言って刺してきたであろう奴が後ろを指す。
「やれ」
と言う声でゾロゾロと人間ガ現れる。
それと同時に魔法や魔術、飛び道具が私を襲う。
大体は避けることが出来るが避けられない物もある。
避け続けているとどんどん意識が遠のいていく。
そして、いつの間にか私は地に伏せていた。
アァ、クソ。体を傷つけられたことが不快でたまらない。
これが油断か...
これが私が他人を下に見ていたと言う証拠か。
この事実が私をより不愉快にする。
奴が近づき、私の前髪を掴み目を合わせてくる。
「ハハハッ、ザマァないなぁ。才能だけのゴミがよぉ。想定外になんも対応できちゃいねぇ。積み重ねが無いからこうなるんだ。つまり全てはお前が悪いんだよォォ」
と言い仲間を連れ、この場を離れた。
その言葉でより一層と不愉快さを覚える。
「アハレナモノダナ、ナカマにミステられコロサレるナンテな」
と言い奴らが去った方面へ向かう姿が目に入った。
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