第十八話
五人の近くに寄ると彼らを気付いたのかこちらを向く。
「緊急依頼が出されたぞ。二時間後に集まるらしいぜ」
「ユキも行かないと行けないだろう?」
「そうだね。おそらく参加しないといけないだろうね」
最低でも一日はかかると思っていたが案外早かった。
五人のちょっとした質問に答えながら集合の時間を待つ。
それにしても、人に教えるのは自分が理解できているかの確認もできるからとても良い。
そんなことを考えながら、集合場所へ向かう。
集合場所へ向かうと多くの人が集まっている。
まだ始まっていないようだ。
ただ、もう少しで始まる雰囲気はある。
するとギルド長が話し始める。
「これで全員か? ...まぁいい、始まるぞ。今回の緊急依頼は魔物の侵攻だ。ジェネラル種もしくはそれ以上の存在も挙げられている。真実かどうか分からんがな。ただ可能性として頭に入れておけ。次はこの戦いの目標だ。大前提として、俺たちだけで倒し切ることが一番良い。ただ、ジェネラル種以上がいたらほぼ不可能だ。だから、Sランクを要請した。だか、来るには三時間は掛かる。つまり、それまで抑え切ることが次の目標だ。...後はこれか」
と言って何かを取り出す。
「最後は陣形だ。と言っても目安程度にしておけ。ここから左はCランクが、それより右がBランクで固める。Aランクは臨機応変に行動してくれ。俺は結界を張る為にここに残る。設置が完了次第俺も向かう。話は以上だ」
ギルド長は話を切り上げ上へ戻っていく。
それと同時に周りも足早に離れていく。
Cランクの配置を確認した後、私も離れる。
ギルドを出て街を歩く。向かうは森方面の門だ。体の不調がないかを確認しておく。街を出てからは刀の具合も確認しておく。
全て問題なし、大丈夫。
...そう言えば、鍛治がしたいな。
この刀を見て思う。
いつかこの刀も使えなくなるだろうし。
技術はないがそれは時間でどうとでもなるだろう。
ただ、道具が一切ない。その上、何が必要かも知らない。
まぁ、場所の確保からかな。
それと知識も必要だね。
結局、全部金がないと始まらない。
つまり、鍛治に手が出せるようになるのは当分先ってことだ。
一体、何年後になるやら...
出来たらこれと同じ刀が作れると良いな。
この刀身はいつ見てもかっこいいからね。
この反射の光りも、この反りも。
天界で貰い、何百、何千と見ていた刀を眺め続ける。
刀を眺めているとゾロゾロと人が集まってくる。
と言っても、まだ集合時間では無い。
「時間が来たから配置につけー」
と言う声が聞こえる。
そして、周りは徐々に行動していく。
中には行動を起こさない人もいるが私は移動する。
アレク達がいる所より左に移動する。
周りに人がいない所に移動する。
ただ、周りに人がいないと言っても見える範囲にはいる。
ただ、敵の位置が見えないので魔力で位置の把握をしようとするが少ししか移動していないようだ。
でも、確実に近づいている。
この速度なら一日後くらいには見えるんじゃ無いかな。
これくらい離れているなら警戒しても無駄だと思い、座り込む。
けど、魔力による位置の把握は続ける。
そんなことを続けて数時間、日が落ち、辺りは暗くなった。
ギルド長も皆がいる所に集まってくる。
「ふむ、思っていたよりも魔物が来るのが遅いな。これなら、Sランクも余裕で間に合いそうだ。お前ら今のうちに寝ておけよ。いつ戦うか分からんからな。ただ、今夜は来ないぞ」
と言う発言がギルド長から出るとほとんどが寝る準備を始める。
何人かは起きているがそれも見張りの為だろう。
そんな周りを見ているとギルド長も睡眠の準備を始めている。あ、もう寝た。
何事もなく朝を迎える。でも、ギルド長が寝始めて、一時間ぐらいで空から人が飛んで来た。
周りを見るなり寝てしまったけど。
今はその飛んで来た人とギルド長も話している。
特に日が傾き始まるまではちょっとした魔物が来るぐらいで何もなく、今、やっと小さな点の集合が見え始めたくらいだ。
こちらから見えると言うことは相手からも見えていると言うわけで進軍の速度が先ほどとは比べ物にならないほど速くなる。
ただ、真っ直ぐ進む速さが上がっただけで囲む
ように移動しないのは楽で良い。
「しっまかり広がれよ!!一番強いやつはこのSランクが相手しやがるから他の魔物の相手をしろ!分かったな」
各々、返事をした後、戦闘態勢になる。
私も準備を整えて待つ。
数分後、魔物達とのぶつかり合いが起こる。
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