第24話
「…え、なんで居るの?」
疲弊した身体に追い打ちをかけられた気がした。鞄を落としそうになったのをギリギリのところで耐える。絶望を隠さずに言えば、ソファから立ち上がった彼女は「おかえりなさい」と、憎たらしいほどの無表情を僕に見せつけた。その腕にはウトウトしている猫が収まっている。…いや、懐きすぎだろう。
「あのさ…、書置き見てないの?」
僕は冷静に物事を捉えようと彼女を見つめる。なるべく心を荒立てないように言えば、彼女は「見ました」と、その目をテーブルへと向けた。そこには彼女に宛てた書置きが置いてある。ついでに鍵も置かれたままだった。どうして…と、一日の疲れが何倍にもなって肩の上に圧し掛かる。
今朝、目を覚ましてすぐに頭を悩ませたのが彼女の存在だった。僕はこれから仕事に行かなければならない。得体の知れない彼女を部屋に残したままにするのは不安だったが、しかし、わざわざ起こして下手に会話するのも面倒だった。しかも一介のサラリーマンの朝は忙しい。のんびり悩んでいる暇はなく、考えた末に紙とペンを手に取ったのだ。
なのに、だ。
なぜ当たり前のように居座っているのだろう。こんなふうに考えるのも億劫で僕は頭を掻いた。そんな僕を無表情に見つめていた彼女がようやく口を開く。
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