Act.2
第22話
「……、」
まどろむ意識の中、懐かしい夢を見た気がする。しかし、夢とは瞬き一つで揺らいでしまうほど不確かなモノだ。現に、うっすらとカタチを成していた夢は、掴もうとすれば逃げていく蜃気楼のように指の隙間を通り過ぎていた。
歪んだ夢を早々に捨て、少女は静かに起き上がる。続いて辺りを見渡せば、そこには見慣れない光景が広がっていた。染みひとつない真っ白な壁。10帖ほどの部屋にはテレビを起点にテーブルやサイドボードが置かれ、足元には毛足の短いラグマットが敷いてある。
カーテンの隙間からは日射しが漏れていた。少女がその身を起こして足をつくと、腹にかかっていた毛布がはらりと落ちる。
あ、と、伸ばしかけた手が止まった。
かすかな寝息にコク、と息を潜める。
「起こしちゃったね。ごめんね」
しかし、猫の意識もすぐそこまで浮上していたのだろう。背中を丸めた猫が窮屈そうに四肢を硬直させる。やがて人の気配に気づいたのか、ツンと上を向いた鼻がピクッと動いた。
少女は「おはよう」と言いながら手を伸ばす。なるべく警戒心に触れないように手を伸ばすも、猫は触れられるより先にそっと目を閉じた。優しく撫でてやれば、ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってくる。柔らかな毛並みが指先に触れ、そのくすぐったさに頬が緩む。
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