第19話
「一緒に寝る?」
猫の寝床はちゃんとある。選択を任せるつもりで問うてみれば、彼女は考える素振りを見せることなく「寝たいです」と即答だった。
寝室から運んできた毛布をソファに広げ、一応、その傍らには寝床として使っているカゴを置いた。
寝づらかったらそこに寝かせていいから。そう言い残して、彼女が頷いたのを横目に寝室へと入る。
ドアを閉めて、急に静かになって、どっと押し寄せてくる疲れを我慢することなく吐き出した。
ドアに凭れて髪を掻けば、静寂に支配された部屋が乱れた前髪の向こうに見えた。暗闇を敷いた床は冷たく、窓辺のカーテンは左右に括られたままだ。そこから見える空には更けた闇が広がっている。
僕は何気なく窓辺に足を向けた。括ったカーテンもそのままに空を見上げる。連なる家々はすでに寝静まっており、シトシトと止まない雨が鼓膜を叩く。
「あ、藍い」
彼女が言った通り、見上げた空は藍かった。
昨日までは確かに黒かったはずなのに不思議なものだ。
分厚い雲に覆われた世界。泣き止まない空が世界を濡らす。だけども、世界は思ったほど暗くはなかった。雲に隠された月が朧な光を零していた。
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