第18話
「でも、なんで夜なの?夜なら”黒”じゃない?」
「夜は”黒”じゃないわ。夜の空は、この仔の目みたいに藍かった。…星が、空を照らすから」
「……、」
「雨の日も一緒。雲に隠れた月が空を照らすの」
「随分、ロマンチックなことを言うね」
「事実だもの」
彼女は腕に抱いた猫を見つめた。意外だった。感情を見せない彼女が無垢な思考をしていることに。
いや、彼女曰く、事実らしいが。
「詳しいんだね」
「空ばかり見てたから」
「どうして?」
「それしかすることがなかったから」
「あぁ、そう…」
なんで、とは聞かなかった。
これ以上、面倒な事を知るのはごめんだった。
猫のおかげで多少の会話は成り立つようになっても、僕と面識がないくせに僕を待っていたと言っちゃうような思考の人間だ。玄関先でのことを思い出すとやっぱり普通ではない。徘徊でもしてたんだろうなって、嫌でも想像出来てしまう。
僕は踵を返し、
「そろそろ寝ようか」
欠伸を噛み殺すことなく漏らした。
彼女が僕を見つめたのが気配で分かる。
「毛布持ってくるから、君も寝るならそこのソファ使ってくれる?」
「この仔はどうしますか?」
猫を見ると、いつの間にか静かになったと思っていた猫は気持ちよさそうに目を閉じていた。ぱたりと尻尾を垂らし、彼女の胸に頬を寄せて寝息を立てている。
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