第111話

禁門の変で頭と肩に怪我をした蝶は、やはり過保護な医者によって部屋にいるように命じられていた。



今も、暑い暑いと言いながら布団の上に大人しく座っている。



「別に、君と違って体調不良じゃないから。」



「強がりですねぇ、可愛くなーい。」



「君こそ。」



なんだかんだと似ている二人は、いつもの通り口喧嘩を始める。



「あ、沖田。」



一通りの文句を言い終えた後、蝶はふっとある事を尋ねてみる。



「はい?」



「街の様子とか…見たかい?」



「ええ、見ましたよ。」



「…どうだった?」



火は消し止められたと聞いたけど、と付け加えて蝶はゴクリと息を飲んだ。



少し前まで、布団の上にいても煙の匂いが部屋まで入って来ていた。


本当に、大きな火事だった…。



「蝶さんの予想のままだと思います。街中真っ黒で、その範囲もかなり大きい。」



「その…街中だけじゃなく、外れの方まで?」



「さあ。でも、可能性はかなりありますね。」



「…。」



ガリ…。



蝶はしばらく無言だった。



が、その手が彼女の左頬の傷に爪を立てていたのを沖田はしっかりと見ていた。

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