第112話

「あ、それはそうと。」



少しだけ重くなった空気を払うように、沖田はパンっと手を叩く。



「近藤さんから最中を貰ったんです、二人で食べなさいって。仕方ないから、一個あげますね。」



「君はほんとに一言余計だね。」



と言いつつ、貰った最中を口に運ぶ。



うん、美味しい。



隣をちらりと見ると、沖田も嬉しそうにそれを頬張っている。



「蝶さんって、甘い物よく食べるんですか?」



「お金がある時はね。今は少し厳しいけど。」



「それじゃ、今度あんみつ食べに行きましょうよ。」



「人の話を聞きなさい。」



なんだか最近、沖田という人間が分かってきた気がする。



とにかく自己中心的で、人の話なんて一切聞かない。



「あ、今すっごく失礼な事考えてたでしょう?」



そして、恐ろしく勘が鋭い。



「別に…今日は非番なのかい?」



話題を変えようと他の質問をしてみる。



そんな蝶をムッとした目で見つめながら、沖田は二つ目の最中に手を伸ばす。



「ええ、もちろんそうですけど。」

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