第106話

「暫くは、部屋から出ずに休め、と副長からの命令だ…まずは、体力を回復させろ。」



「分かってるさ。」



次に聞こえてきたのは、弱々しくも、震えてもいない、いつも通りの声だった。



「…長々と話してしまったね。」



「構わん。」



「…おやすみ。」



それから会話はなかった。



しかし、外からは熱気が、屯所内からはやはり騒然とした空気が漂っていた。



***



そこまで思い返してから、斎藤は小首を傾げた。



本当に、これが何かの役に立つのだろうか。



山崎の言動を見る限り、何かに勘付いているのは明白である。



では一体なにがあるのだろう。


やはり蝶には何か特別な隠し事が…?



それならば、土方に報告しなくては。



新撰組の隊士として、それは隊務の一環だ。



しかし、何もつかめていない今、迂闊には動けない。



山崎さんには他言無用と言われたしな…。



行き場のない悔しさに思わず溜息が漏れたところで、斎藤はようやく自室についたのだった。

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