痕
壱
第98話
「入ってや。」
すっと襖が開かれると、綺麗な所作で斎藤が入ってきた。
「すまへんな。忙しいやろ、そちらさんも。」
「いえ、山崎さんほどでは。」
相変わらず口数の少ない斎藤が答えるのを聞きながら、山崎は座るよう促す。
ここは医務室。
山崎は隊医という面も持ち合わせるので、此処にいるのは基本的に彼一人。
だが、今日は珍しい組み合わせが向かい合って座っていた。
「まあ、斎藤はんなら分かってはると思うけど、四日前の事でちょいとな。」
「はい。」
四日前といえば、禁門の変があった日だ。
燃え続ける街に泣く泣く背を向け、新撰組は一度屯所へと戻った。
その後も、交代で街に出ては火消しを手伝ったり、壊れた家屋を片付けたりと忙しく働いていた。
その甲斐あって、ようやくその火は消し止められた。
それが、ちょうど一昨日のことだ。
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