第86話

九条河原に戻った新撰組もまた、御所の方角に登る黒煙を目撃し、その応援に向かう。


しかし、新撰組が到着した頃には戦いも殆ど終結を迎え、彼らは再び残党狩りを行う事となる。




「武器の数あるもんは、御所に。他は全員街で消火に当たり、ええな?」



その声に応ずる様に、静かな、しかし確かに大人数の足音が一斉に響きだす。



声の主…山崎がその多くの監察方を捌いている事、そして、彼ら全員が山崎に絶対の信頼を置いている事が見て取れる。



いや、厳密に言えば、彼等の姿は見えないのだが。



「小芝は、街に行き。目立つなっちゅう副長からのお達しや。」



「山崎さんは?」



「副長と合流する。」



「そうか…」



副長の土方と合流するということは、即ち、戦場へ向かうということ。



それを悟った蝶は、懐から幾つかの武器を取り出す。



「これも使ってくれ。少しは足しになるだろうから。」



「堪忍な。」



懐にあった数本の苦無を渡すと、蝶は少し前に発った足音を頼りに、街を目指すため駆け出した。

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