第85話

***



「っ…はぁ…」



男の元を去った後、蝶は再び山崎との合流の為に足を進めていた。



…どぉん…っ!!



「っ!?」



凄い音がした。



明らかに、大きな建物に大砲が向けられている。



大きな建物…?



はっと顔を向けると、遠くに黒い煙が上がっている。



「あれは…っ!」







汗で髪が首に張り付く。



坂の続く山道で、足は限界だ。



それでも、走らなくては。



知らせなくては…!



「…っ、山崎さ、ん!」



「小芝、無事やったか。」



漸く見つかったその人の背中に、倒れ込むようにして止まった彼女の足。



一瞬驚いた表情を浮かべたが、山崎もその体をしっかりと支える。



「何があったんや。」



「御所の、方角に、煙が上がってい、る!残党が残って、いるはずだっ」



「っ分かった、ご苦労さん!」



途切れ途切れの言葉をなんとか聞き取り、それを理解した山崎は盛大に舌打ちをする。



彼の足は、すぐに戦乱の中へ走り始めた。



が、その足はすぐに歩みを止めた。



「…。」



「山崎さん…?」



何も言わない背中が、とても恐ろしく見えた。



「…見てみ。」



「…っ」



山崎の視線の先。



それは、黒煙に包まれた京の街だった。

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