第72話
九条河原の陣営。
土方は、その隅の方で座っていた。
観察方は、土方の下でのみ動く部隊だ。
その報告を受けるのも、内密でなくてはいけない。
ここでなら他に見つかることなく観察方と連絡を取れるから、と陣取った背後から微かに音が聞こえてきた。
「っ土方さん、報告です。」
「小芝か、なんだ。」
山崎を見張りに着けていた筈だが、来たのは蝶一人。
その状況を察したのか、腕を組んだ彼はそのまま蝶の次の言葉を待つ。
「伏見の長州陣営に動きあり。山崎さんは、他へ連絡に向かっています。」
「っ…分かった。ご苦労だった。」
蝶の落ち着いたその声に、土方は息をのんだ。
漸く、来た。
自然と、彼の口許は吊り上る。
「お前は、山崎と合流して動け。いいな。」
それだけを残し、土方は近藤の元へと急いだ。
いよいよだ。
荒くなる息が、彼の興奮を露わにする。
急ぎ足は段々と速さを増し、駆け足へ変わる。
いよいよ、俺達が…!
身震いする体を止められなかった。
知らせを受けた隊士達の雄叫びが低く響いたのは、それからすぐの事だった。
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