第69話
「…それじゃ、新撰組だけの戦いではなく、会津藩と共に長州と戦うという事かい?」
「せや。」
「ふうん。」
山崎の返答に、蝶の顔が少し曇った。
それを優秀な監察方が見逃すはずもなく、すかさず疑問を滑り込ませる。
「なんや、まずい事でも?」
「そんな大事に巻き込まれて、しかも新撰組と行動してたら、社会復帰も心配になるさ。」
「はは、全くやな。」
漸く和やかな雰囲気になった部屋に、二人分の笑い声が響く。
「作戦は?」
「基本的に、俺らは補佐に回る。特にあんたは、走る準備だけしといてくれたらええ。」
「ん、分かった。」
「発つのは明日の早朝。しっかり準備しときや。」
「了解。」
襖を開け周囲を見回し、蝶は手をひらひら振りながら部屋を出た。
自分の部屋に入ったところで、蝶は大きな溜息をついた。
まずい。
一言で表すなら、その言葉が一番しっくり来る。
どうしたものか、この作戦はやっぱり断った方が…いや、断ろうものなら怪しまれるに決まってる…なんとか乗り切れるだろうか…さっきのように会津に反応してしまったら…既に怪しまれているだろうのに…。
そんな答えの出そうにない議論が、頭の中で繰り広げられる。
「…会津藩。」
小さく呟いた彼女の顔は、その複雑な心境が滲み出ているようだった。
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