第67話

「はあ?私も行く?」



穏やかな晴れ日。



昼過ぎに訪れた突然の訪問者の言葉を、おうむ返ししたのは蝶だった。



「人が足りてねえ。」



訪問者、もとい土方は蝶の言葉に苦々しく頷いた。



「そんなの理由になってないだろ、私は君達に監視されてるんだ。そんな私を連れ出していいの?面子丸潰れだぞ?」



「良くはない。だから表立って動かなくていい。裏に回れ。」



「おやおや、随分勝手じゃないかい?副長。」



断固として首を縦に振らない蝶と、断固としてその場を動かない土方。



それぞれの頑固さ故のその場で、意外にも、勝負はあっさりとついた。



「てめえの疑いを晴らすきっかけが見つかるかもしれねえぞ?」



土方の目が意地悪く細められた。



「戦いに出向いただけで疑いが晴れるとは思えないんだけどな。」



土方の作戦に今度こそ乗るまいと、蝶もまた目を細める。



「お前の働き次第だ。要は、俺たちの味方であることを証明すれば良い。簡単だろ?」



「…。」



「言っておくが、外に出すには正当な理由が必要だ。戦が理由なら、話は別だが。」



「…。」



「…。」



「…ちゃんと認めてくれるなら、な。」



とうとう折れた蝶は、目的の為だと己に暗示をかけ続けたのだった。

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