第66話

ーーー





「っ…はぁ…っはぁ!」



汗で髪が首に張り付く。



坂の続く山道で、足は限界だ。



走るうちに、ついた血は乾いて剥がれ落ちていった。



「…っ、山崎さん!」



「小芝、無事やったか。」



漸く見つけたその人も、蝶と同じ様に汗ばんだ額を拭う。



「御所の方角に、煙が上がっている。残党が残っているはずだ!」



「っ分かった、ご苦労さん!」



舌打ちを残し、山崎は戦乱の中へ走り出した。



が、その足はすぐに歩みを止めた。



「山崎さん…?」



「…。」



纏う空気が明らかに変わった彼に、蝶はゆっくりと近づく。



「見てみ。」



「…っ」



山崎の視線の先。



それは、黒煙に包まれた京の街だった。



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