第61話

「うーん…何処でもいいんですか?」



「ああ。」



「それじゃあ。」



しばらく悩んだ末に、沖田はそう言うと、スタスタと歩き出した。



足早に歩く彼に遅れまいと、彼女もその背中を追った。



***



「ここは?」



着いたのは小さな川のほとり。



街から少し離れているためか、人はいない。



「時々、来るんです。」



「良いところだね。」



ちょろちょろと、涼やかな音を奏でながら流れる川。



小さな花々に、少し遠くに見える桜の木。



「落ち着く。」



この和やかな風景に、沖田は少しだけその視線を和らげる。



「故郷に…少しだけ似てるんですよ。」



「へえ。生まれは何処なんだい?」



そんな何気ない疑問に、沖田は薄く笑った。



それを見て、蝶はあっと気づく。



軽率に内部を探るものじゃない、怪しまれてしまっては…。



「あ、そういうつもりじゃなくて…」


「江戸ですよ。」



被せるように言う沖田に、蝶は困惑するように視線を泳がせる。



そんな蝶の反応を見て、沖田は更に笑った。

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