第59話

「ふふ…久しぶりだなぁ。」



何にも遮られない空を仰ぎながら、蝶は珍しく鼻歌を歌っていた。



沖田に連れられて街に出る事になったが、仮にも蝶は極秘に監視されている身。



隊士達に顔を見せる事は出来なかった。



その為、沖田とは街で合流することになった。



屯所を出る前に指示されたのだ。



「絶対に隊士にばれないで下さいよ。私が怒られる事になるんですからね。」



永倉と別れた後に、少しだけ不機嫌そうにしながら、そう念を押されたのだ。



その時、



「!!」



…いた。



蝶は慌てたように、先程までの鼻歌を止め、身を潜める。



ザッザッ、と音を立てながら歩いていったのは幾人かの侍たちだった。



その刀には、



…葵の御紋。



隠れた蝶には気づいていない。



少しキョロキョロと辺りを見回してから、彼らはそのまま、人混みに消えていった。



「…まだ探してるのか。」



もう一年以上も前なのに。



そう呟いて、蝶は寂しそうに、苦しそうに息を吐いた。

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