弐
第59話
「ふふ…久しぶりだなぁ。」
何にも遮られない空を仰ぎながら、蝶は珍しく鼻歌を歌っていた。
沖田に連れられて街に出る事になったが、仮にも蝶は極秘に監視されている身。
隊士達に顔を見せる事は出来なかった。
その為、沖田とは街で合流することになった。
屯所を出る前に指示されたのだ。
「絶対に隊士にばれないで下さいよ。私が怒られる事になるんですからね。」
永倉と別れた後に、少しだけ不機嫌そうにしながら、そう念を押されたのだ。
その時、
「!!」
…いた。
蝶は慌てたように、先程までの鼻歌を止め、身を潜める。
ザッザッ、と音を立てながら歩いていったのは幾人かの侍たちだった。
その刀には、
…葵の御紋。
隠れた蝶には気づいていない。
少しキョロキョロと辺りを見回してから、彼らはそのまま、人混みに消えていった。
「…まだ探してるのか。」
もう一年以上も前なのに。
そう呟いて、蝶は寂しそうに、苦しそうに息を吐いた。
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