第57話

***



「蝶さーーーーーーん。」



間延びした声と共に、すぱんっと襖が開かれる。



「巡察かい?」



「はい。来たいなら、ですけど。」



ふふ、と笑うと軽やかに廊下を歩いていく。



蝶を待つ気はないらしい。



急いで準備すると、蝶は駆け足でその後を追った。



が、角を曲がったところで大きな何かに直撃した。



「っと、すまない。」



「っとと!おお、嬢ちゃんか!」



「出かけんのか?」



「あ。永倉さんに原田さん。」



大きな何かは、あの大男、原田だった。



彼の後からは顔を覗かせたのは、永倉だ。



稽古に行く途中なのか、二人共竹刀を持っている。



「今から巡察に同行するんだ。」



「そうかー、そうだよな。ずーっと部屋じゃ暇だよなぁ。」



「よく許しが出たな。」



「山南さんがな。」



山南の名前を出した途端、苦々しかった顔が納得したように頷いた。



やはり、彼の人の良さは公認らしい。



「あ。」



三人で立ったまま談笑していると、蝶の目が庭の方で何かを捉えた。



「「「局長、お疲れ様です!」」」



「うむ。」

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