第52話

「あんたの監視もちょくちょくしよったで?」



「えっ」



気づかなかった、と蝶は大きく目を見開いた。



そんな表情に、にやりと笑って返すと、山崎は更に教えてくれた。



「せや。誰も居らん時とかな。」



「誰も居らん…?あ、山南さんが居なくなった時。」



「そん時もや。」



池田屋の一件があったその日。



蝶の監視役として居たはずの山南が、誰かに呼ばれてその場を去ったのを思い出す。



あの時、蝶は手薄なやり方に不思議がっていたが、まさか監察方に監視されているとは。



「気づかなかった。すごいな、君は。」



「もっと褒めてもええよ?」



「あれ、空耳が。」



「ひど。」



笑い疲れてふうっと息を吐くと、山崎はふすまの向こうの空を見る。



「せや、副長に呼び出されとったわ。じゃ、大人しくしとくんやで。」



そんな軽い捨て台詞を置いて、山崎はさっさと部屋を出て行った。

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