第37話

男は絶命した。



それを確認すると、蝶は男の開かれた目をそっと閉ざす。



そして、血で汚れた顔を拭い、手から刀を外して鞘に収め、それを男の前にまっすぐ置いた。



それを終えると、蝶は背後で座り込む沖田を振り返る。



「沖田、大丈…。」



ふらり、と蝶の体が傾いた。



「蝶さ…!!」



だめだ、間に合わない…っ



そう思った時、沖田の目の前を人影が通った。







「どうして、こいつがここにいる。」



「一くん…!」



倒れる彼女を抱き留めたのは、斎藤一だった。



「下は全て終わった。土方さんが会津藩の者たちを止めている。お前達を運び終れば、全て終いだ。」



「そうですか…。」



そう言うと、安心したのか、沖田も弱々しく咳き込む。



「行くぞ、肩を。」



心配そうに沖田に声をかけ、かがみ込む。



そんな斎藤に、沖田は微笑みを返す。



いつも通りの、強がった笑顔だった。



「大丈夫ですよ。蝶さんからお願いします。」



「…分かった。」



沖田が頑固なのを知っている斎藤は、此処にいる事を約束させると、蝶を連れて出口へ歩く。

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