第29話

手当は終わった。



その時、蝶の首へ何かが突きつけられた。



「てめえ、何してやがる。」



突きつけたのは、先程の声の主。



暗がりで顔が分からないが、この声は恐らく、



「永倉さんか。」



一度、監視の際に声を聞いたことがあった。



振り返れば、永倉の背には倒れた輩が何人もいた。



彼は、蝶が男の手当をしている最中、敵を寄せ付けなかったのだ。



「なんでここにいる!てめえは…」



「永倉さん!」




説教でも始めそうな永倉の声を遮り、蝶はぐいっと永倉を引き寄せる。



そして、



「ぐぁっっ」



永倉を背中から襲おうとした男の胸に小太刀を投げた。




胸に小太刀を携えて、男は倒れた。



「…」



「永倉さん、まだ此処は戦場だ。話は後で聞く。一番人手が足りないのは何処だい。」



尚も抵抗する男に小太刀を深く突き刺しながら、蝶は永倉へ問いかける。

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