第25話

足音を聞けば、どの方向へ彼等が進んだかがわかる。



それを防ぐためだったかもしれない。



それ程までに知られてはいけない、何か。



蝶としてはかなり気になる所だが、此処でそれを出せば振り出しに戻る。



すこし痩せて、細くなった腕を摩りながら、山南の言葉を思い出す。



「明日、明後日か…」



体が持つか心配ではあるが、解放されたら何か美味しいものでも食べようと決めた。



天ぷら、掛けそば、寿司もいいかもしれない、奮発して甘味も食べたい。



そんな想像に胸をふくらませながら、部屋に置かれた今日の分の水をごくりと飲んだ。



あと少し、あと少し。



「あと、少し…。」



ぐぅー。



こんなに緊迫した屯所の空気に似合わず、彼女の腹の虫は鳴り続けていた。

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