第16話
そこで意味深に言葉を切ると、斉藤は蝶にぐいっと顔を近づけた。
「此処は女とて手加減はしない奴ばかりだ。いつその顔に傷が増えるかわからんことを、覚えておけ。」
「心配しているつもりかい?ありがたく受け取っておくけど、私の主張は変わらないよ。」
互いに見えない腹の探り合い。
ふと、斉藤は蝶の視線を外すと左頬の傷に目を向けた。
どれくらいそうしていただろう。
静かに、静かに、時が流れていた。
やがて、斉藤は蝶を一睨みすると部屋を出ていった。
「…」
なんだか不思議な時間を過ごした蝶は、少し息を吐く。
息を吐くと同時に、腹の虫も鳴る。
「…お腹減った。」
「おやおや、まだ吐いていないのですか。思った以上に頑固の様だね。」
また来た。
と言うように、蝶は再び開いた襖を横目で見る。
本日三人目の来客は、初めて出会う男だった。
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