第15話

突然、部屋の外からかかった声は、蝶の監視のため先日やって来た男のものだった。



幹部の一人、斉藤一。



随分無愛想な男で、蝶の所へ来ても何も話さずにただじっと座って一日を過ごしていた。



いや、沖田のように喋りまくる方が珍しいかもしれない。



「土方さんが、呼んでる。」



「はーい、もう少ししたら行きますって伝えて下さい。」



「今行け。」



ぼそぼそと容赦ない突っ込みを入れると、沖田を部屋からつまみ出す。



廊下を歩く足音と小さな文句の声が聞こえたところで、男は漸く蝶に目をやった。



「随分と強情らしいな。」



「強情というか…話すことがないからだよ。」



その台詞は、毎日のように繰り返していた。



が、未だに信じる者は居ないのが現実だった。



「野垂れ死のうが何だろうが、お前の勝手だが。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る