第14話

「ところで。少し痩せました?」



「さすがに水だけじゃ太れないよ。」



そして、三つ目。



これが一番厄介な"分かった事"だった。



新撰組は女である蝶に対して直接手は出さないようだが、別の方法で追い詰めるようだった。



体の自由を封じたり痛めつけるような拷問の代わりに、飢えの苦しみを与える事で脅迫しているのだ。



現に、彼女はここ数日何も食べていない。



与えられた水だけで飢えを凌いでいる。



「肌も荒れてきちゃいますよ。」



「肌荒れで済むなら、それでいいけど。」



今なら、あの時の沖田の言葉の意味が分かる。



「またまたー、怖い事言わないでくださいよー。まるで殺されちゃうみたいな事言っちゃって。」



「君の、そういう裏のある物言いは嫌いじゃないよ。」



「ところで、なんですが。」



「なんだい。」



「蝶さんのそれ、随分目立ちますよね。嫌じゃありません?」



沖田が指差したのは、蝶の左頬の大きな傷跡。



「嫌だと思った事はないな。まあ、目立つには目立つ。」



「まあ、結構大きいですしね。」



「…総司。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る