第10話

「こいつは暫く様子を見る。いや、本当のことを言うまで監視する。」



「はぁ。でも、蔵は先客がいますよ?」



「…そうだったな。」



土方は軽く舌打ちすると、腕を組む。



どうやら、男を監視する場所を考えているらしい。



「いや、蔵にする必要は無い。俺には、女に手荒な真似は出来ん。」



そんな土方に反論したのは近藤。



"女"と言われた男…即ち、二人の前に座らされた男は、むすっとした顔で小さく舌打ちした。



女である事を認めたという印足るものだった。



「え?女だったんですか?」



「気づいてなかったのかよ。」



「やすやすと気付かれてたまるかい。」



「それから近藤さん、んな甘いこと言ってられねえだろ。」



「侍たる者、女子供に手を挙げるなど以ての外だ。これだけは譲れない!」



「…ったく、頑固なのは変わんねえなぁ。」



断固として頭を縦に振らない近藤に折れたのか、土方はくっと笑った。



笑うと更に華やかな顔立ちが目立つ男に、近藤もまた笑って返す。



そんな二人を、女は何も言わずに、ただじっと見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る