第15話
祥太と交流を深めるようになってから学校が格段と楽しくなった
いつも朝投稿すれば、「真穂、おはよう」と声をかけてくれる友人達
テレビの話や、芸能人の話はわからないけど、みんなで雑誌を読んだり、お菓子を断っているのに無理矢理口に入れられて、その美味しさに感動したり
世界が変わった
急にキラキラし始めた
まるで無色のような味気ない世界がキラキラと輝き始めた
その中心にいるのが、祥太だった
いつもニコニコしていて眩しかった
クラスで何をやろうにも、提案するのがうまくて、みんなを誘導して巻き込むようなそんな明るさが彼にはあった
私に、バレエ以外の人生の楽しさを教えてくれた人
それが祥太だった
でも、それが好きだという気持ちだということには、すぐには気がつかなかった
『ねぇ。真穂は好きな人いないの?』
ある日の朝、唐突にアヤが聞いてきた
『え、いないというか、まだ、わからないんだ。好きって気持ちが』
『えー!ドキッとしたりとかしないの?例えばさ、バレエ教室の男子とか』
『うーん。ドキッかぁー。ないな、仲間って感じ』
『へぇーなんかそこは冷めてるんだね』
『いや、でも他の子はボーイズクラスの誰かさんがかっこいいとか、そんな話してるよ』
『真穂が興味ないだけか』
すると、登校してきたミキがバレエ公演のチラシを持ってきた
『昨日、演劇部で劇の台本を探しに県芸の図書館に行ったときに劇場のパンフレット置き場で見つけたんだけど、これって真穂だよね?』
ミキが持っていたのは20周年の公演のチラシだった
そこには[オーロラ姫:長谷川真穂]と書かれている
『それ、今度の公演のチラシ......』
『オーロラ姫って主役じゃん!真穂、主役なの?』
『主役...まぁ、主役かな?』
アヤが興奮して聞いてくるから、照れてしまって、素直に言えなかった
『すごいじゃん!これ、私たちも見に行けるの?』
『う、うん。一般の人も来てもらえるよ』
『でも、チケット5000円かぁ。うちらのお小遣いじゃあ...』
『チケット...何部か持たされるから、もし、来てくれるなら、みんなにあげるよ』
『本当?行きたい!!!』
『ありがとう。じゃあ、持ってくる。ミキとアヤと...』
『恵里奈もいくでしょ?』
『うん、私も行く』
そこに祥太と友人の川嶋もやってきた
『何何?』
『あのね、真穂、バレエで主役踊るんだって、チケット、真穂が用意してくれるから、みんなで見に行こうと思ってるんだ』
『マジ?行く行く!俺も行くよ』
祥太が来てくれると言った瞬間、何故か、気持ちが高鳴った
恥ずかしいというか、照れ臭いというか
何故かドキドキしてしまった
祥太は私にとって特別な存在なんだと、少し、自覚した瞬間だった
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