晦日月
ウサギが駆け出す。
真っ赤な痕を遺して。
悲しそうに泣いた
友を想って泣いた
月が近い山頂で
たった1匹
友達を探している
泣きはらした真っ赤な目を
月に映して
「どこにいるの」
泣きじゃくっているウサギを
月だけが知っている
「どこにいったの」
独りぼっちのウサギを
月だけが見ている
「どうして置いていったの」
裏切られてもなお、ウサギは友を信じている
1匹で小さく蹲るウサギを月だけが見守っている。
「どうして独りにしたの」
紅いウサギが泣いているのは
置いていかれたことが悲しいから
頼られなかったことが寂しいから
「寂しい、独りは寂しい」
見つけられないまま
独りぼっちのまま
紅いウサギは泣いている
「愛しているの」
それは愛
何よりも深い愛
伝えられなかった愛だった
「ごめんね」
だから逃げたのに
真っ赤な痕を追って、追いついたのは――――
「見つけた」
紅いウサギは泣いて喜んだ
一緒にいようと
彼女たちは真っ逆様、堕ちていく
ああ、これでずぅっと一緒だ
月は堕ちた
紅いウサギ 紅空 紅玉 @benisora
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