第6話

「言ったよね。翼ちゃんになら何されてもいいよって」


「っ、ひっ、」


ベッドに無理やり押し倒されたかと思えば、背後から覆いかぶさられ。

迫られている状況に、嫌な予感しかしない。

ドクンドクンと心臓が早鐘を打ち、痛いと感じるぐらい。


必死の牽制は全く効果が無かった。

どうしよう……どうしたら止めてくれるの?


男女がベッドの上にいてすることなんて、1つしかない。

ましてやこの男は女であればすぐに手を出す遊び人だ。手練手管など持ち合わせていない私が、抵抗することなど皆無に等しい。


以前も押し倒されたけど、こんな雰囲気ではなく揶揄う感じだった。

なんで、こんなにも不安感を抱くの。



「っ」


顔の横に添えられた手が逃げ場を更に無くされる。恐怖心が込み上げ、震えてしまう。


「もう限界なんだよね」


「やめ、っん!」


うなじに感じた唇の感触にビクッと身を跳ねらせた。そんな所で喋らないで欲しい。

ゾクッと痺れが走り、顔を歪める。


「ずっと我慢してきたでしょう? すぐに手を出すこともできたけど、それをしなかった。なんでだと思う? 翼ちゃんの事を愛してるからだよ」


「ーーえ、!? 痛っ!!」


ガリッと音がしたと同時にうなじに走った鋭い痛みに、堪らず呻く。

な、に……。もしかして噛まれたの?


つん、と鼻を刺す鉄の臭いに、血が出たことに気付く。


「でももう限界。翼ちゃんが欲しくて、欲しくて欲しくて。俺の気持ちも知らないで冷たくする翼ちゃんが憎らしくもあったよ」


「やっ、だ……止めてっ、」


そんなの知らない。本気じゃない癖に。私の事なんて遊びのくせに。きっと私が他の女の子のようにすぐに落ちなかったから、やけになっているだけ。


そんな事言われたって、私は貴方の事好きにならない。

それに抱かれる気など更々無い。



「はは、翼ちゃん。悪いけど今日は本気だよ。前みたいに嫌がったって、拒絶したって止めてあげない」


「…………ぇ」

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