第4話

ニコニコご機嫌そうな男の様子にため息をつく。

手は離れないし、隣同士で歩いているからかさっきから視線を感じて不愉快だ。


絶対勘違いされてると思うわ。


また新しいターゲットを見つけた、って。実際に言われた身としては腹が立つんだけども。



「早く手を離して」


「やだ、って言ったら?」


「殴るわよ」


「ふ、ふふ。翼ちゃんが? んーまぁ、俺としては殴られてもいいけど、そんな事したらどうなるかぐらい予想をつくんじゃない?」


「…………はぁ」



腹が立つ。

この男の言う通りで。大変な目に合うのは私だ。今この場で女子から人気のある彼を殴りでもすれば、どうなるかなんて嫌でも理解してしまう。


批難されるのはどう考えても私の方。


その余裕な顔がほんと腹が立って仕方ない。



「殴らないから早く手を離して。講義遅れるわ」


「殴らないんだ? 翼ちゃんになら何されてもいいのに。」


ふっと笑う彼にゾワッと背筋が震える。この男の口を誰か封じて欲しい。

誤解を招くようなことを平気で言っているのが信じられない。


さっきから手を離せと伝えているのにも関わらず、全く離そうとしないのはなんなのよ。

女子から攻撃性のある視線を感じて、背中が痛いと錯覚するぐらいだ。



「俺も同じ講義受けるんだから、このままでいいよね」


「…………は?」


今なんて?

待ってよ。私が受けている講義で専門以外被ったこと無かった筈……。

なのに、どういうこと。

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