第3話
「翼ちゃん」
「!」
手を握り締められているのに不快感しか感じないでいると、不意に身体を引き寄せられた。
目を見開く。
ふっと彼の顔が近付いたことに直ぐに反応出来なかった。
「んん、」
唇が押し付けられ、我に返り何とか顔を離そうとしたけど。直ぐに後頭部を押さえつけられて叶わなかった。
ぐっと、すぐ側にあったブロック塀に身体を押し付けられ角度を変えてキスをされてしまう。
悔しいけど、女慣れしているだけあってこの男はキスが上手い。
抵抗なんて出来なくなってしまう。
目を閉じることだけはしたくなくて瞳で私は必死に抵抗する。
男もそんな私の事を知っているとばかりに見つめてきていた。
「……はっ、翼ちゃん可愛い」
「触らないで」
やっとキスを止めたかと思えば、頬に伸ばされた手が私の輪郭をなぞってきた。
バシッとその手を振り払う。
ゴシゴシと見せつけるように唇を拭えば、男は口角を上げた。
「酷いなぁ。俺とのキス、気持ちよかったでしょ? 翼ちゃんも感じてくれてたじゃん」
「…………」
確かに気持ちは良かった。
言いたくないけどこの男とするキスはどっちかというと好きだ。
でも。
そんな事どうでもいい。この男と関わりたくない。
「貴方の事大嫌い」
そっと背伸びして男の耳元に唇を寄せ、そう言うと。男はおかしそうにふふと笑った。
「知ってるよ翼ちゃん」
それもそうだわ。さっき言ったものね。
嘲笑する私に男はまるで離さないとばかりに、再び強く指を絡めてきたのだった。
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