第12話
太くてごわごわした指の先を見つめる。みずみずしいサラダ菜の上に、枯葉と細い木の枝の絡まったような埃がちょこんと紛れていた。
「は、……はい」
「気分が悪いんだけど。これを作った人を呼んできてくれないかな」
「あ、えと、」
作った人はわたしだ。だけど、こんな埃が混ざったことはこれまでなかった。髪の毛一本だって。おかしい、確認だって何度もしたはず。
……ううん。よく確認したのはサンドイッチのほうだったかもしれない。だとしたらこれはわたしのせいだ。
「あの、わたしが用意させていただきました。申し訳ございません」
男性は目にぐっと力を入れてわたしを見上げる。ぎょろりとした視線に震え上がった。
「あんたが?」
「はい、本当に、申し訳ございません。すぐ代わりのものをお持ちいたしますので、」
「うーん、そういうことじゃないんだよね。まあ謝ってくれるならそれは受け取るけど、バイトの女の子だけだとちょっとねえ。責任者は? 呼んできてくれない?」
怒っているふうには見えないのに、わたしから目を離さない。手がふるえ出すのを感じた。うるさい心臓がわたしを追い詰める。
「店長、は……」
だめだ。痛む体で、ここまで連れてくるなんて。わたしの失敗のせいで、そんなことをさせるわけにはいかない……。息を吸ったけれど、ほとんど吸えなかった。声が細く消えそうになる。
「いま、店長は……その……」
「呼んでくるだけでいいんだよ。あんたには何もできないんだから。まさかいないってことはないだろう?」
「は、はい、それはそうなのですが……あの……」
涙が喉までこみあげて声の邪魔をする。お願い、引っ込んで、と自分の身体に言い聞かせる。言うことを聞くはずもない。
「どうした? あんたはもういいって言ってるだろ。早く店長かだれか、」
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