第7話
休日のランチとなると、キッチンは大わらわで、とてもひとりでは注文に追い付けない。毎週くるみさんと二人がかりでなんとか回していた。
「まどちゃんが入ってくれたから、随分ラクになったのよー。一人じゃさすがにキツいでしょ? それに、まどちゃんが来てから盛り付けがキレイだって。常連さんも褒めてる」
「いえ……そんな」
どう受け止めていいかわからずに俯いた。素直に受け取ればいいのに、どうしてもできない。褒められるようなところなんて無いのだ。ただ臆病なだけ。
さえこさんは少し疲れたのか、火照った顔をぱたぱたと煽いだ。ふー、と大きく息を吐く。
「ごめんね。ちょっと調子が悪くて」
「え。……体調、悪いんですか?」
「んー、今朝からおなかが痛くて。今月はまだのはずなんだけどなぁ」
眉間にしわを寄せて下腹部をさするさえこさんは、「まあ、なんとか大丈夫かな」と笑った。
「無理、しないでくださいね」
「うん、ありがと。さてと……カフェタイムも頑張りますか」
ピンクベージュの綺麗な髪をポニーテールに結び直して、さえこさんはホールに出ていく。いつもは颯爽とした足取りも、どこか重たく感じた。
*
翌日、日曜日のランチタイムに合わせて出勤すると、ロッカールームの前で店長が難しい顔をしていた。
「こんにちは……どうしたんですか?」
「ん? ああ、まどちゃん。ご苦労様です」
店長は自慢のグレイヘアに手をやって、考えるようなそぶりを見せた後、「実はね」と切り出した。
「サエコが胃腸炎で倒れてしまって」
「い……ちょうえん?」
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