第7話

休日のランチとなると、キッチンは大わらわで、とてもひとりでは注文に追い付けない。毎週くるみさんと二人がかりでなんとか回していた。


 「まどちゃんが入ってくれたから、随分ラクになったのよー。一人じゃさすがにキツいでしょ? それに、まどちゃんが来てから盛り付けがキレイだって。常連さんも褒めてる」


 「いえ……そんな」


 どう受け止めていいかわからずに俯いた。素直に受け取ればいいのに、どうしてもできない。褒められるようなところなんて無いのだ。ただ臆病なだけ。


 さえこさんは少し疲れたのか、火照った顔をぱたぱたと煽いだ。ふー、と大きく息を吐く。


 「ごめんね。ちょっと調子が悪くて」


 「え。……体調、悪いんですか?」


 「んー、今朝からおなかが痛くて。今月はまだのはずなんだけどなぁ」


 眉間にしわを寄せて下腹部をさするさえこさんは、「まあ、なんとか大丈夫かな」と笑った。


 「無理、しないでくださいね」


 「うん、ありがと。さてと……カフェタイムも頑張りますか」


 ピンクベージュの綺麗な髪をポニーテールに結び直して、さえこさんはホールに出ていく。いつもは颯爽とした足取りも、どこか重たく感じた。










 翌日、日曜日のランチタイムに合わせて出勤すると、ロッカールームの前で店長が難しい顔をしていた。


 「こんにちは……どうしたんですか?」


 「ん? ああ、まどちゃん。ご苦労様です」


 店長は自慢のグレイヘアに手をやって、考えるようなそぶりを見せた後、「実はね」と切り出した。


 「サエコが胃腸炎で倒れてしまって」


 「い……ちょうえん?」

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