第2話
店長は、わたしの立つキッチンをなんとなく眺めた後、伺うようにわたしの目を覗き込んだ。
優しい店長さんだけれど、何か探るような視線に居心地の悪さを感じてしまう。ことあるごとに褒めてくれるけど、本音か励ましか見分けがつかない。惑うわたしの心を見透かすようなその目は、ちょっと苦手だ。
「伯父さーん、常連さんが呼んでる」
ホールから裏へ飛び込んできたさえこさんが、店長を後ろから呼ぶ。店長は瞳の色を変えた。
「おや、それは大変だ。じゃあまどちゃん、そこの片付けをよろしく」
「は、はい」
表へ出ていった店長と入れ替わりで、ホールでの役目を終えたらしいさえこさんがこの場に残った。
「あー、疲れたね。やっぱランチは忙しいわ。まどちゃんも疲れたでしょ? 休憩しようよ」
「あ、えっと、片付けが」
「そんなの後でいいってば。まどちゃん、真面目なんだから」
さえこさんは片眉を上げながら、おもむろにカフェエプロンを外す。
「また伯父さんに絡まれてたの?」
「えーと、はい、お話ししてました」
さえこさんが長い睫毛で縁取られた目を瞬かせる。睫毛がほんの少し赤みがかっていて綺麗だ。眉も髪色もピンクベージュで合わせていて、とても垢抜けている。一つしか年が違わないなんて信じられないくらい、大人だ。
さえこさんは店長さんの親戚で、高校生の時からこの喫茶店でバイトをしているらしい。忙しなくくるくると動き回るホールの仕事も慣れたものだ。
「伯父さん、ちょっと無神経なとこがあるからさー。あんまり気にしなくていいよ?」
「そ、そんなことないですよ」
「だってまどちゃん、人に言われたこと、いろいろと気にしそうだし」
図星だ。「そう……かもしれません」言い淀んでしまう。さえこさんのこのストレートな物言いも、正直ちょっと苦手だ。
「自信もって、堂々としてればいいんだって。あたしだって何年もやれてるんだから、平気平気」
「……はは」
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