第42話

一筋の閃光が駆け抜けて、あたしの世界は白に染まる。


薄暗い青を切り裂いて、その白は空気ごと、一瞬で塗り替えてゆく。




――蒔子ちゃん、



ああそうだ、これはイメージだ。



野川さんが奏でる音楽はまるで、真っ白なひかり。




再び光がはじけて、眩しく、世界を明るい白に照らしだす。


光は徐々に色づきだして、


――赤、橙、黄。


薄いみどりに、濃い緑。




そして白い光を包み込む、明るい空色。






……きっと、音楽であるからには音楽が大事で、伝えたいことをどうやって、言葉じゃなく伝えるのか……




ああ、だけどね、野川さん。


それはあたしが音楽を好きな理由、そのものではあるけれど。


今ならあたし、その考えを少し、曲げたって構わない。






だって野川さんの言葉に彩られた世界は、こんなにも鮮やかだ。

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